ギエムの「ボレロ」実は初めて見ました。最初で最後のギエムのボレロでした。
彼女のボレロを一度でも見ることができて本当によかったー。これで最後なんて本当にもったいない。私は初めて見たが、今まで何度も日本でも踊っていたボレロだが、おそらく踊るたびに違ったものを感じさせてくれたのだろうなーと思う。今、現在のギエムの踊る「ボレロ」が私にとっては唯一無二のものになった。もっともっと多くの人に見てもらいたいと思ったが、だからこそ全国縦断してくれるんですね。全てやりつくしたっていうところもあるのかなー。

まずは、「スプリング・アンド・フォール」
いかにもノイマイヤーな美しい舞台。しかし、東京バレエ団の方々にはあまり合っていなかったような…。女性はよかったけれど、男性はちょっとみんな動きが固くてきちっきちっと踊っていた感じでノイマイヤーの流れるような美しい動きになっていなかった。この作品の世界を理解できていなかったように思われた。ただ、動きをなぞっていたような感じ。練習時間が少なかったのかな。
あれを、リアブコが踊るんだろうなー、さぞかし美しいだろうなー。あのパートは服部君がいいなーなどと想像しながら見ていました。

「小さな死」
本日のもう一つの楽しみにしていたムッル。真っ暗な舞台の後方から二人がぼんやり見えた。
スポットで照らされる。噂に聞いていたとおりマッチョな体のムッル。前日に「ポートレートマッシモ・ムッル」のビデオを見ていたので、大人になったのねーという感じ。あのころはまだ、少年のように線のほそーい印象だったが、ここに居るムッルは上半身もがっしりとした大人の男だった。
この作品はたぶん、初めて見たと思うのであまり下調べせずに見ました。舞台から受けた印象は二人の男女、はりつめた緊張感がある。お互いのことを警戒しながらも惹かれあう。けれども、気持ちを許しあうところまではいかない。一定の距離を保ったままの関係を続けていく二人。ある瞬間二人は一心同体のように見えた。実は、一人の人間の中にある二つの人格が葛藤をしているようにも見えなくはなかった。二人とも、すばらしかった。淡々とした表情の奥底にいろんな感情がうずまいているのが感じられた。すごく、はやい動きもぴたっと合っていて、二人のパートナーシップがうまくいっていると思った。しかし、本当に短かった。えーもう終わり〜。もっと見せてーと懇願。
カーテンコールもすごい拍手でした。ムッルも満足そうな表情。やっぱり、この人のダンスが好きだー。なんてことない動きなんだけど全てがつぼ。個性という個性を言い表せないけれど好きです。
これからが、楽しみ。

「シンフォニー・イン・D」
 これも多分初見。これも予習ナシに見ましたが、予想と全く違ってびっくりしました。コミックバレエだったんですね。これって、運動会?あの衣装もびっくり。なんじゃー?と思ってしまった。初めはよくわからず、段々お笑いなんだーって気が付いてきた。結構、楽しめました。途中、女性ばかりの輪に一人男性が入り5番でポーズのとき、前の足がみんなと逆でこっそり直すところ、レッスンでよくやるのでうけてしまった。そのあとも女性陣の振りについていけず、だんだんわけわからなくなってわーっと頭を抱えるとこもまさに、よく私もああなるのでおかしかった。
楽しませてもらいましたが、でも、ちょっと長いです。その前のムッルの印象がすっかり消えてしまったよー。

「ボレロ」
壇上のギエムは冷静に踊り始める。まわりの男たちの様子を見ながらあくまでも冷静に自分をコントロールしている。いつしか、廻りの男たちもコントロールしていく。男たちを見る目がすごい。さらーっと視線を流していくが思わず引き付けられる。徐々に音楽が盛り上がってきて舞台も盛り上がってくるがギエムはあくまでも自分をコントロールしている。だけれども、全体のボルテージが上がってくるのがわかる。男たちが段々我慢できずに立ち上がって壇の周りに集まってくる。見てうちに、古代の宗教儀式の場に居て自分もそれに参加しているるかのような不思議な感覚に陥る。まさに、あのリズムと自分が同じところにいるよう。体が、あつーくなってくるのを感じた。きっと、卑弥呼ってこういう感じに人々を支配する力を持っていたんだろうと思った。カリスマ性を持っていて、踊りや祈りで人々をとりこにしていたと聞いたことがあるので、絶対こんなだったらこの人は神だと思っただろうなーと実感した。まさに、日本で踊るギエムは「卑弥呼」だった。神々しいものを感じた。
最後の最後まで椅子に座っている男たちは座っていなければいけないのがつらいだろうなーと思った。すぐにでも、立ち上がって一緒に踊りたかっただろうなーと思わせられた。
最後の最後まで、回りを絶頂に持っていきながらも自分は自己を保ったまま、見事だった。
中からあふれるエネルギーがまわりに伝わったのだろう。ほんとに神だった。
最後は、客席から思わず悲鳴にも似た声が上がった。私も叫びたかった。
いつまでも拍手がなりやまず。花束を持ったお客さんが大勢いて、ギエムはそれを丁寧に一つ一つ受け取り、一人ひとりと丁寧に握手をした。客席みんなの気持ちが伝わって、会場が一体となった感があった。ギエムも感極まった表情だった。すばらしい舞台をありがとう。
12/2(金)
大阪フェスティバルホール

シルヴィ・ギエム最後の「ボレロ」
東京バレエ団全国縦断公演

「スプリング・アンド・フォール」
             (振付ノイマイヤー)
 長谷川智佳子-木村和夫 他東京バレエ団

「小さな死」 (振付 イリ・キリアン)
  シルヴィ・ギエム  マッシモ・ムッル

「シンフォニー・イン・D」
 吉岡美佳・高村順子・後藤晴雄・高橋竜太他

「ボレロ」 (振付 モーリス・ベジャール)
 シルヴィ・ギエム

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