私にとって2度目のルジマトフの舞台です。昨年11月の「ルジマトフのすべて」を見て、完全にルジマトフの魅力にとりつかれてしまった。これは、全幕を絶対に見なくては!という思いに駆られて急遽オークションでチケットを購入。
しかも、ルジマトフ四大傑作のひとつ、「バヤデルカ」のソロル。
まだ、バレエ鑑賞歴が短く、「ラ・バヤデール」全幕を生で見るのは初めて。ビデオで英国ロイヤルとパリオペラ座のを見ただけ。既に、ルジ様に「一生ついていきます」と心の中で誓った私なので、感じ方が思いっきり偏っています。

 ペレンは黒髪で東洋的な顔立ちなので、神秘的な舞姫ニキヤにイメージぴったり。踊りもなかなかステキ。自分がバレエを習い始めてから腕の動きや手先の表情、ステップなどに目が行くようになった。そこに注目していたが中々美しい。大僧正がニキヤに一目ぼれしてふられる。急に、「好きになったから、あなたのためにこの地位も捨てる」と言われてもねえ…。
 さてお待ち兼ねのソロル登場。拍手がおきる。はあ、あの白い衣装のルジマトフなんと美しい。あいかわらず、全てのポーズが美しくきまる。あの手先、足先…。ああ、幸せ。神様ありがとう。

 ソロルとニキヤの愛にあふれた幸せなパドドゥ。中々息の合ったパートナーシップでさすが。静かながら徐々に二人の気持ちが盛り上がってくる。ついに、愛の絶頂のたかーいリフト。話しがそれるが昨年三浦雅士氏の「ノイマイヤーの世界を語る」講演会に行った時に聞いてなるほどと思ったが、リフトされるということは相手に全幅の信頼と愛があるということで、男性が手を伸ばしてたかーく女性をリフトするのは、二人の最高の愛の証だということだった。考えるとなるほどそのとおりだよねーとわかるけれど、それまでは気がつかなかった。
そのとおりソロルがニキヤをたかーくリフトした決定的瞬間をカーテンの陰から大僧正が見てしまう。「あー、一番見られてはいけないとこを見られちゃったよー」とはらはら。
二人の気持ちが最高潮に盛り上がって、聖なる火に永遠の愛を誓うソロル。なんて幸せなニキヤ。美しく勇敢で力強いルジ様にじゃなくてソロルにあんなに優しい熱い瞳で見つめられ、優しくサポートされリフトされるなんて羨ましい。でも、二人のそれほどまでの幸せ感があまり前面に出てこない。その時代の下々の人間は自分の感情を出すことは許されていなかったのだろうなーと思う。だから、しみじみした幸せ感。

 ニキヤに愛を誓ったところなのに、藩主に呼ばれて娘と結婚させてやると言われるソロル。この藩主キャスト表にはドゥグマンタ(ラジャ)と書かれている。ラジャは王様と思うのだけど、藩主というよりラジャとなれば、その娘との結婚は凄い名誉だし、まさか断れないよねーと思う。これまで知っていたストーリーでは、ガムサッティが美しいので心を奪われてしまったソロルというイメージだったがルジ@ソロルはそういう感じではなかった。確かにガムサッティの美しさにもちょっと心を動かされたかと思うけど、ガムサッティの顔を見た瞬間の表情が私の席からよく見えなかったので分からない。
でもそれよりも、ソロルの身分では、ラジャからのこんな名誉な申し出を、好きな人がいるからと言って断るような自由は与えられていなかったのだろう。それに、ガムサッティも自分との結婚を望んでいるのがわかり、それをいやだというのはガムサッティに対して、これほどないくらいの失礼なことで、彼女を傷つけることになるだろう。そんなことをしたら、自分はよいがニキヤの身まで危ないだろう。愛するニキヤとの愛を選べばその愛する人の命もないかもしれない、一体どうすればよいのかと苦悶するが、ここはこの結婚を受けるしかないだろう。ガムサッティもとても美しく自分を気に入ってくれているし、自分も彼女を愛せるかもしれない。苦しいけれどニキヤのためにもそうするしかない。というように感じた。

 ソロルがガムサッティと対面したあと、彼らの前にに呼ばれて踊るニキヤ。ニキヤはソロルがいることに気付かない。最初、何故ソロルに気付かないんだろう?と不思議に思ったが、下々の者はお偉い方の顔を見るということさえ許されていなかったのだろうと納得。ソロルはニキヤに気付いてうろたえていたと思う。(記憶がすでに曖昧)
 さっきの舞姫がソロルの恋人だと知り、怒りまくるガムサッティ。ニキヤを呼びつけて、「どれどれ」と顔を見る。さっきはステキなソロルに夢中でほとんど踊りも踊り子も見ていなかったんだろう。自分とは違う魅力を持ったニキヤを見て焦る。
ライバルの出現で俄然ソロルを自分のものにしたいという気持ちが強くなる。あんなにすてきなんだもんねー。それに自分に従順に仕えてくれそうだし、理想の夫です。
ソロルは自分と結婚するとガムサッティに聞かされ、そこからはニキヤも相手がラジャの娘だということも関係なく二人の対等な女同士に。きっと顔をにらみつけ刀で切りつけようとする。
ニキヤが走り去った後、ガムサッティの演技の見せ場、「あの女を殺すわ!」こわーい。美人が怒るのはとても凄みがあって怖い。

 盛大な婚約式。お待ち兼ねの象に乗るソロル。めっちゃ大きい象です。この象からどうやって下に下りるんだろう?と期待していたらそのまま、行ってしまい袖で下りてから舞台へ歩いて登場した。なーんだ。
ここの場面は、色々なタイプの踊りが見られて楽しい。
 太鼓の踊りめっちゃかっこよい。特にリーダーは他の人たちより足がピーンときれいに上がり、とても力強くキレがあり、美しかった。
 ブロンズアイドル、偶像なんだなーという形をきっちり守って正確にきっちり廻ってぴたっと止まる。豪快に技を見せるというより、正確な感じがなかなかよかった。
 インドの踊り、すごーい迫力。ものすごーい運動量で目が廻りそう。ただただすごかった。
 壷の踊り、これが一番気に入りました。表情も踊りもすごくキュートでかわいかった。壷は頭にくっつけてるんだろうと思っていたら最後に頭から下ろし、えーほんとにバランスで乗せていたのねとびっくり。子供たちに水を頂戴よーとねだられて、「だめよだめよ」と言って、最後には「ほんとは水は入ってないのよ」というオチみたいだった。おもしろかった。
 さて、ガムサッティとソロルのパドドゥ。これが本当にうっとりする美しさだった。シェスタコワの魅力が存分に出ていた。あのきらきらの衣装がとてもよく似合って彼女自身も衣装に負けないくらいキラキラ輝いていた。本当に幸せそう。ソロルは、幸せーという感じはないがガムサッティに忠実に仕えていくことが自分の運命だと心に決めたみたい。迷いはあるがそうするしかないと自分に納得させようとしつつ、ガムサッティと踊っているうちに次第に彼女への愛情もわいてくる。ガムサッティも彼の気持ちが徐々に自分へとむいてくるのを感じて幸福の絶頂へ。自信に満ち溢れ益々輝いてくる。
 ここのソロルがガムサッティの後ろでジャンプするとこ、二人のタイミングがぴたーっと合っていて、さらに美しい。ルジさんの方は、空中の一番高いところで最高に美しいアラベスクで一瞬静止する。本当に止まってた。毎回!!
 シェスタコワの、私にとって一番のお気に入りだったところは、二度ほどあったと思うけど、後ろでソロルがサポートし、前のアティチュードでキメッ!のところのキメッのあとゆーっくりと膝を伸ばして足を下に下ろすところ。その動作があまりにも優雅でう〜っとりしてしまいました。なんとも優美でそういうつなぎの動作とかちょっとした所に彼女の魅力があるんじゃないかなーと思った。
 ルジさんですが、「あれっ?ここでソロルのソロなかったっけ?もう終わったっけ?」舞台終わってから「もっとソロルのソロなかったっけ?」と不思議に思ってはいたのですが、ここでの、ソロルの見せ場のソロがなかったそうな。言われてみて、やっぱりと思ったけど、そう聞かなければ気付かなかったし、自然に舞台は進行した。なんと、聞いてびっくり。この日のルジさんはお熱があったそうな。まさか、体調が悪いようには見えないジャンプに回転でした。

 ここまでですでに長いですが、次はニキヤが幸せそうなソロルとガムサッティの前で踊る悲しみのソロ。
この時のソロルの表情は見ていてこちらまでつらーくなるような悲痛な表情。それまで、幸せそうに踊っていたのでその対比でいっそう悲しさが倍増。ソロルが悪いのだろうけれど、あなたは悪くないよと声をかけてあげたくなる。
ガムサッティと並んで座るソロルの前にニキヤが出てきて踊り出す。ニキヤを見て思いっきりうろたえるソロル。ニキヤは必死になってソロルに「あなた一体これはどういうこと?彼女と結婚するなんて嘘よね、何かの間違いだと言って!」と訴えかけるようにソロルの目を見て踊る。ソロルはニキヤと目を合わせることが出来ず目をそらす。でも、ニキヤが向こうを向いていると恐る恐るというかやはり、ニキヤを見つめずにはいられない。悲しそうな表情でニキヤをじっと見つめる。それに気付いたガムサッティがソロルの膝にそっと手を置く。ソロルはふっと我に帰りガムサッティの手を握る。ガムサッティが自信たっぷりの表情でソロルににっこり微笑みかける。ソロルは引きつった笑い。そして、ガムサッティの手を彼女の膝の上にそっと戻す。その様子を見て一層悲しそうな表情で踊り続けるニキヤ。ソロルはまた、ニキヤの目を正面から見ることは出来ずにいるが、やはり彼女を悲痛な表情で見つめる。自分が彼女を傷つけたことを責めている。またもやその表情を感じ取ったガムサッティが彼の膝に手を置く。その威圧的な手にソロルは彼女の手を取り、うつむきながらどうしようもなくなりそっとくちづけをする。それを見てしまったニキヤ。ああ、彼はあの女のものになってしまったのだわ。ステップが激しく乱れる。ところが、そこへ花籠が渡される。ソロルからだと言われたのだろう、やはりこの結婚は何かの間違いだわ彼は私を愛していると信じようと思いながらも、どう考えてよいのか混乱した表情のニキヤ。そのときヘビが彼女の首にかみつく。それを見た、ソロルは当然すぐニキヤに駆け寄るだろうと思ったら、自分の周りにいた家臣たちに「おい、一体どうしたんだ、彼女を助けてくれ」「お願いだ、彼女を助けて!」と言うように肩をつかんで揺らす。何故、彼女の元に駆け寄らないのよーとはがゆい。ニキヤはガムサッティに「あなたがやったのね」と叫ぶ。それを聞いてソロルは「まさか、そんな」と叫ぶがガムサッティはそれを否定しないままソロルの方を「それならどうするって言うの?ふんっ」と去っていく。そこで初めて、ソロルは堂々とニキヤの元へ。彼女の体を抱いて嗚咽。恐ろしく誠実な男ソロルだから、そんなことがあってもガムサッティを差し置いてニキヤの元へ駆け寄ることができなかったんだろう。それほどまでに自分の気持ちを殺さないといけないなんて…。切な過ぎる…。
このシーンはずーっとソロルの表情ばっかり見ていてニキヤのソロほとんど見ていなかった。

2006/1/28(土)Bunkamuraオーチャードホール
「バヤデルカ」
レニングラード国立バレエ

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kyonのバレエ観劇記


















































































































































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ソロル:ファルフ・ルジマトフ

ニキヤ:イリーナ・ペレン

ガムザッティ:オクサーナ・シェスタコワ

大僧正   :アンドレイ・ブレグバーゼ
ラジャ    :アレクセイ・マラーホフ
マグダウィア:ラシッド・マミン
黄金の偶像:デニス・トルマチョフ
インドの踊り:オリガ・ポリョフコ、アンドレイ・マスロボエフ
奴    隷 : ドミトリー・シャドルーヒン
太鼓の踊り :アレクセイ・クズネツォフ
壷の踊り  :ヴィクトリア・シシコワ
ガムサッティの召使:ナタリア・オシポワ
幻影の場ヴァリエーション:
タチアナ・ミリチェワ、オリガ・ステパノワ、イリーナ・コシェレワ
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その2へつづく

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